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夜が明けても傍にいて。

第20章 “北崎課長”と“宮西”。

もうすぐ定時になるというのに私はお手洗いを我慢出来なかった。


トイレを済ませてドアを開けるとそこにその人は私に背を向けて立っていて鏡越しに目が合ってしまった。


ちょっとした恐怖映画のように思えてならない。




愛花さんは振り返ると私との距離をジリジリと詰めてきた。




「ねぇ、宮西さん。」


「はい…。」



「あなた、春樹に聞いたのよね?」


「……。」


「騙されてるのも知らないで好きになっちゃうんだから、可哀想な子ね…。」




慎也を裏切った女なんかに言われたくない…。



「私のおかげで慎也みたいないい男と出逢えたんだから感謝しなさい?

まっ、遊ばれて終わっちゃったみたいだけどね…フフっ。」





!!!





「...他にっ……何か言いたいことはありますか?」


「…!!」





「部下にこんな事して面白いですか?


確かに課長とは別れましたけど…


月下さん?


まだ課長のことが好きなら本人に直接言ったらどうです?


課長は遊びだった割りに私に未練タラタラなので、あなたのことをまた好きになるかどうかはわかりませんけどね。」



「なっ…!!」



「今日までお疲れ様でした。本社に戻ってもお元気で。」


唇を噛み締めて今にも憤慨しそうな愛花さんを置いて廊下に出た時



!!!



「宮西、トイレで長時間サボってたのか?」



---課長……。





「慎也!!」



後ろから愛花さんも飛び出てきた。

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