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夜が明けても傍にいて。

第6章 近くに居たい。傍にいたい。

---今、なんて?


「知ってたらこんなに遅くならなかったのに。


悪かったな。」



--そんな風に言われたら

期待してしまう。



「ううん。」


私は大きく首を振る。


「来てくれただけで、充分だよ...。

まだ、後15分もある。」



そう言って笑うと

悲しみの涙から嬉し涙に変わった雫が私の頬を伝った。




課長は...ゆっくりと隣に来て
私の涙をその大きな手で優しく拭ってくれた。




「お前...なんで泣くんだよ...?」




あなたの瞳に目を合わせれば
なんとも切なく私を見ているような気がして...




私の心を知ろうとしてくれてるのかなって

期待に期待を重ねてしまう。





もう、傷付いてもいい。


今、この瞬間が幸せなら...。





誕生日だと言うのに涙が止まらなかった。





「泣きすぎだろ?


お前、誕生日なんだから




もう、泣くなよ。








誕生日、おめでとう。」




そう言って唇に優しいキスをくれた。

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