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夜が明けても傍にいて。

第8章 元カレと元カノの存在



---春樹が課長の恋人に手を出したってこと?



「愛花(あいか)とはどうしたんだよ?」






---愛花?


それは考えなくてもわかってしまう、女性の名前。


課長の口から私以外で初めて聞く女性の名前。








課長の、恋人だった人…?


課長の愛した人…?


ずっと考えないようにしていた課長の過去。
課長の現在でさえ不確かなのに。





「何の用事があって別れた女に電話してくるのか知らないがもう二度と掛けてくるな。」



---課長…。





「莉菜が言ってるからだ。


お前とは話もしたくない、顔も見たくないって。




じゃ、そういうことだ。」



---------


課長によって電話は切られた。






「あ、わりぃ…。


つい、咄嗟に。」


「.........。」


「春樹と...話したかったか?」


「......。」


私は首を横に振るしかなかった。




春樹にあんな風に言ってくれたことは嬉しい。





---だけど、





課長が口にした


“俺の女”


今でもその人を好きなんじゃないかと思わずにはいられなかった。



私の為ではなく
彼女を奪われた憎しみがまだ消えてなくて



あんな風に言ったんじゃないかと




そう思わずにはいられなかった。







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