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「－－－好き…


な訳ないだろ？」



眉間にシワを作って…笑った。





－－－その表情がとても切なくて


好きって言ってないのに
好きって言ってるようで


結局私の心はすっきりしない。



「俺は裏切られたんだ。

そんな相手を俺がいつまでも好きでいると思うか？」





「...いえ。」



───そんなの…わからない。




「好きじゃないけど

まぁ、言うならば



“忘れられない人”ってやつかな。」




───忘れられない人…？






普段は見せない課長の素直さが逆に
私の胸を締め付ける。





「宮西…お前にも居るだろ？

忘れられない人が。」





「……。」





───居るわけないじゃん…。



今私の心の中に居る人なんて
課長以外居ないのに…。





「どうして忘れられないのでしょうね…。」






「俺の場合はやっぱり
裏切られたからかな…。


俺のことを信じてます、
私のことを信じて下さいって顔して

平気で浮気してたんだから


女に対する考え方を変えさせられたって意味で

忘れられないんだ。」





課長の胸の中に愛花さんが居続けることに


変わりはない。




－－－課長…


簡単に抱かれた私も愛花さんと一緒だって



そう思ってる？








「課長…。



ぎゅっ、ってして下さい…。」



課長の胸に静かに抱きついた。




「あぁ…。」



課長は優しく私をぎゅっ、としてくれる。





一瞬だけ…




幸せを感じた。