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『好き』の重さ

第14章 赤い糸

就業時間の5時30分


デスクの片付けを済ませ、課長に挨拶をして部屋を出ると、廊下で課長に呼び止められた


「星川さん!」


また、誘われるのだろうか…
不安が胸を過った


「はい……」


あれから私は、課長の顔を見ないようにしていた


課長もそれに気が付いているのだろう、少し目を反らして話し掛ける


「この前はすまなかった…アザは消えたかい?」


「…彼に…見つかって…
彼とは別れました…」


そう言った途端に、目が合った


「長い付き合いだと言ってたあの…彼と別れたのか!?アザを…見られたのか…

す…すまない…」


「課長はそれで、満足でしょうね…」


力なく小声で呟く

その時の私は、言わずに居られなかったのだと思う。

「課長…もう、私を苦しめないでください。
仕事上でこんなに尊敬する課長の事を、嫌いにはなりたくないんです…

仕事は、これまで以上に頑張りますから」


恋を諦めようとしていた私は、仕事まで失いたくは無いと思った


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