
地下病棟の秘密
第11章 仕事だから
絢子「…お疲れ様でした」
あれから涼は
一度も戻って来る事はなく
ずっと梨華の側に付きっ切りでいた
顔を合わせたら理不尽な事を言いそうで
絢子は早々と病院を出た
逃げ出したのだ
涼から…
絢子「…」
だけど病院を出たところで…
高戸「絢子ちゃん」
絢子「栗田さん?どうしたんですか」
高戸「涼にちょっと用があったんだけど
連絡つかなくて」
絢子「あ…今日は無理だと思います」
高戸「何、急病人?」
絢子「そうじゃないですけど…涼さんが
担当する患者さんが…今夜はその…」
高戸「なるほどね…わかった、ありがと
う」
絢子「…」
詳しく言わなかったが
察してくれたようでありがたかった
もし口に出して言っていたら高戸の前で
絢子は…
絢子「…」
高戸「絢子ちゃん」
絢子「はい…」
高戸「予定狂っちゃったから飲み行こう
涼の事で話したい事もあるし…」
絢子「…」
普段なら絶対に断っていた飲みの誘い
だけど涼を出されたら…
絢子「わかりました」
行かないわけにいかなかった
