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未成熟の誘惑

第2章 caseなつ

この静かな村には、高い建物がない。



建物がないということは、影がないんだ。



俺の居場所もない。



「先輩、もうすぐ中間テストですね」



「そうだな」



「先輩は何か対策とかしてるんですか」



「いや」



ふと、小さな少女が目に入る。



コロサナキャ



変な、テレパシーのような声が聞こえた。



白くて、服のすみに赤いしみがあった。



まるで



「先輩、なにぼーっとしてるんですか」



「ああ、いや、何でもない」

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