テキストサイズ

嘘でもいいから

第2章 君が大切だから

ぶつぶつと言いながらも
私の肩を抱いて相合傘をしてくれる。


そんな隼人に…
私はバッグの中に入った折りたたみ傘を
差し出すことができなくて。


2人は一日相合傘で過ごした。


私は傘を見上げる度…
揺れるリボンに隼人が文句を言う度…

自然と頬が緩んでしまって。


あの時は
隼人の優しさが沁みたな…


でも、今日の私は
傘を一瞥しただけで玄関の外に出る。


「あ…雨…」


外はポツポツと
雨が降り出していたけれど…

今日に限って
折りたたみ傘は持ってない。


「さよなら…隼人…」


私は雨の中へ走り出した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ