星も、パンも
第24章 パンは、踏み出―――…
「…松島さんは、トキコ先生と知り合いですか?」
トキコ先生をトキネちゃんと呼ぶ松島さんは…とても楽しそうで、時に呆れた顔もみせる…
「あ〜…同級生なの///…彼女…ホント―――…不思議な子でさ…
知らぬうちに…彼女を助けてしまうの…
彼女の魅力かな?ん〜…でも、ヤヒロ君は…会ったことないからなぁ〜…
トキネちゃんの…文字の力かな?」
松島さんは、ケラケラ笑い…目を細めた――――…
「さっきね…
トキネちゃんが制作会議で…
ヤヒロ君とミヒロ君の魅力を熱く語っててね…
原作出版社の担当さんが引いてた
でも、その語りで…八年のブランクのあるヤヒロ君への、踏みこめない上の人達が――――…動いたのはたしかよ」
松島さんは……
俺を真っ直ぐ見つめる…
「――…松島さん…俺は…
演じれるでしょうか――…」
松島さんは、ソファから立ち上がると…
俺の手を握った―――…
「勘は…直ぐに取り戻せる…
ヤヒロ君は…
…強い俳優だった―――…」
“俳優”
その言葉に…ドキンとした…
松島さんは…俺を俳優と言う…
“子役”ではなく…
“俳優”と…