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カード×ロワイヤル-異世界転生への奇妙な旅-

第2章 第2話 マギ・ウォールド


バインド・ハンクドマン【緊縛の吊るされた男】。何故だか知らないが俺自身は最初から知っている訳じゃない。でも、その名前をまるで分かっていたかの様に俺は呼んだ。

「な、なんだよ…?これは?!」

俺は今、とても恐ろしい事が起きている。そして自分自身でもその訳が分からない光景に1つの気味の悪さを覚えてしまう。

「刃…お前。なんで?!なんで?!身体から黒い鎖の様な触手が出てきてるんだ?!」

そう。俺の腕や手先、足等から黒い鎖が触手の様にウヨウヨと沸いてくる様に現れた。

そして鎖の先端にはナイフの様に尖った円錐が着いていて俺の身体はいったい、どうしてしまったのか分からない。

しかし身体の至るところから異物が出てきている筈なのに痛みはおろか出血さえ出ていない。

「グルルル……グォォォオオオッ!!!」

だけど俺に考える時間はないと言わんばかりに空腹に飢えたドラゴンは、その高鳴る咆哮で俺を威嚇してくる。

そしてドラゴンは容赦なく俺達で少しでも早く腹を満たしたいのか目付きは鋭く、そして空腹による機嫌の悪さはピカイチだ。

「とにかく!今はそれしかない!!喰らえッ!!」

俺は右腕をドラゴンに向かって伸ばすと、それに反応するかの様に鎖が右腕と同時に伸びていく。

そして鎖にある鋭く尖った円錐がドラゴンの腹部に突き刺さるが、あんまり効果は無く寧ろ逆効果だった。

「ギャァァアアアアッ!!」

「マジかよ…」

更にドラゴンを興奮させてしまいドラゴンは俺達を人間が虫けらを踏み潰すかの如くなんの躊躇もなく踏み潰そうとする。

「うわ。危ねぇなッ!純弥捕まって!」

「あっ…あぁ!」

俺は少し離れた木の方に鎖を縛り付けてから純弥の手を取りドラゴンから一旦離れて状況を見ながらドラゴンをぶっ飛ばす方法を考える。

「はぁ…本当に異世界だよな。」

「全くだな。冗談もキツいな…」

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