シアワセ
第1章 始まりと終わり
「…ははっ。煽るのがうまいなぁ」
そう笑った城端さんは困ったように眉を寄せた
そしてゆっくり私に軽く口づけをすると
体を離した
「え?」
拍子抜けした
「ん?どうしたの?したかった?」
「え?!」
「はははっ。ダメだよ、清華ちゃん……こういうのはこんなおじさんとしちゃダメだよ」
にっこり微笑まれて胸が傷んだ
「……もう、何度も抱かれてますから」
そうソファに寝転んだまま答えると
彼の優しい手が私の頬を撫でた
「そうだったね。だけど……どうして、そんな悲しい顔をしてるのかな」
「………っ」
そんな優しい顔を私なんかにしないでほしい。
沢山のお客さんに綺麗だと言われたことはある。でも皆、見ているのは体だけだった
私なんか目に入ってない
ただの機械のようだと、思った
でも彼は、まるで私自身を見ているかのように呟く
「……悲しい顔なんて、してません。これが、仕事ですから」
そういって上に乗る彼に微笑む
「そう……君がいろんな人に抱かれてるのは分かってるよ。だから、君が忘れられない客になろうと思う」
「え?」
「抱かない客」
そういってはははっと声をあげて笑うと
彼は押し倒したままの私を起き上がらせて
ゆっくり抱き締めた
「抱擁、ってやられたことある?」
「…お尻さわられたりしながらなら」
「ぶっ」
今度は彼が吹き出し、肩を震わせてる
「……?」
「はははははっ!……あーおもしろいな清華ちゃん」
「……え?」
「…君をもっと知りたくなった」
そういうと彼は体を離して、私をソファに押し付けると深く口付けた
「んんっ!」
突然のことで思わず抵抗してしまった
重ねられた唇から舌が入り、ゆっくりかき回すと糸をひき離れた
「……それでいい。抵抗するんだ……その方が人間らしい」
そう意地悪そうに微笑むと彼は私の頭を撫でて私の上から離れて帰り支度を始めた
「また来るよ、清華ちゃん」
そういって部屋から出ていった
「…………え?」
一人取り残された部屋で呆然とする
抱かれなかったのは…初めてだ
キスだけなんて、初めてだ
服を着たままなんて初めてだ
それが、彼との出会い。
彼の情報は
城端喜一。27才。
ただそれだけだった
私のシアワセが静かに壊れ始めていた
そう笑った城端さんは困ったように眉を寄せた
そしてゆっくり私に軽く口づけをすると
体を離した
「え?」
拍子抜けした
「ん?どうしたの?したかった?」
「え?!」
「はははっ。ダメだよ、清華ちゃん……こういうのはこんなおじさんとしちゃダメだよ」
にっこり微笑まれて胸が傷んだ
「……もう、何度も抱かれてますから」
そうソファに寝転んだまま答えると
彼の優しい手が私の頬を撫でた
「そうだったね。だけど……どうして、そんな悲しい顔をしてるのかな」
「………っ」
そんな優しい顔を私なんかにしないでほしい。
沢山のお客さんに綺麗だと言われたことはある。でも皆、見ているのは体だけだった
私なんか目に入ってない
ただの機械のようだと、思った
でも彼は、まるで私自身を見ているかのように呟く
「……悲しい顔なんて、してません。これが、仕事ですから」
そういって上に乗る彼に微笑む
「そう……君がいろんな人に抱かれてるのは分かってるよ。だから、君が忘れられない客になろうと思う」
「え?」
「抱かない客」
そういってはははっと声をあげて笑うと
彼は押し倒したままの私を起き上がらせて
ゆっくり抱き締めた
「抱擁、ってやられたことある?」
「…お尻さわられたりしながらなら」
「ぶっ」
今度は彼が吹き出し、肩を震わせてる
「……?」
「はははははっ!……あーおもしろいな清華ちゃん」
「……え?」
「…君をもっと知りたくなった」
そういうと彼は体を離して、私をソファに押し付けると深く口付けた
「んんっ!」
突然のことで思わず抵抗してしまった
重ねられた唇から舌が入り、ゆっくりかき回すと糸をひき離れた
「……それでいい。抵抗するんだ……その方が人間らしい」
そう意地悪そうに微笑むと彼は私の頭を撫でて私の上から離れて帰り支度を始めた
「また来るよ、清華ちゃん」
そういって部屋から出ていった
「…………え?」
一人取り残された部屋で呆然とする
抱かれなかったのは…初めてだ
キスだけなんて、初めてだ
服を着たままなんて初めてだ
それが、彼との出会い。
彼の情報は
城端喜一。27才。
ただそれだけだった
私のシアワセが静かに壊れ始めていた