テキストサイズ

シアワセ

第1章 始まりと終わり



「ど、どうして?」
「ん?お客として来たんだけど?」
「………」

当たり前のように笑う城端さん

「……ワイン、もらっていいかな?」
「あ、はい」

私は脱いでいたドレスを着ると、ワインを頼む

「また、ヤったのかい?」
「!」

そう城端さんがネクタイを緩めながら問いかける
何故か胸がドキリと音をたてた

この罪悪感のようなものはなんだろう

「……はい。仕事ですから」
「仕事、ね」

そう彼は呟くと隣に座った私の髪に手を絡ませた

「……城端さん?」
「良い香り。シャンプーの香り?」
「……はい」

さっきまでのセックスを思い出す

「……そう」

城端さんはそう呟くといきなり私を抱き締めた

「!」
「…はぁ」

私の肩に顔を埋める城端さん

「………し、城端さん?」
「落ち着く。俺はセックスよりも抱き締める方が好きだよ」
「……はい。知っています」

思わず微笑むと、城端さんが私の頭を撫でる

「?」

肩に埋めてた顔をあげて、私と目線を合わせると撫でていた手を頬にあてた

「いつも…泣きそうな顔をしてる」
「……え?」
「…辛そうな、なにか耐えてる顔」
「…っ……」

思わずその眼鏡越しのまっすぐな瞳にみいってしまう。

辛そう?

私が?

どうして?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ