シアワセ
第2章 悲しい娘 喜一side
「バカバカしい」
俺は首をふると、来た道を戻る。
俺はキャバクラとかそういう女が一番嫌いだ。
人に媚をうって、金を儲ける。
そうしてどんどん地獄におちていくのは
目に見えているのに
なのに何故
彼女の顔が頭から離れないんだ
むかつく。
むかつく。むかつく。
だけど
気になってしかたがない。
次の日俺はまた仕事が終わって、ふらふらと歩いていた
「……最悪だ……」
そしてたどり着いたのはまた昨日の店の裏道
「なにやってんだよ」
そう呟いて、帰ろうとしたとき、また窓が開いた
そしてこないだの女が出てくる
「……」
こないだとは違う。
どこか諦めたような顔つきだった
「………」
どうしてそんな顔をするんだ。
どうしてそんな、全てを諦めた顔をするんだ
やめてくれ。
思い出してしまう。
アイツを。
やめろ。やめろ。やめろ。やめろ。やめろ。やめろ。やめろ。やめろ。やめろ。やめろ。
「っ!」
そのとき、誰かに肩を捕まれた
「……お前…」
「!」
「喜一…」
そこに立っていたのは俺の兄。
城端太一。
まさか…
嫌な予感が頭をよぎった
「……兄貴…まさか、ここ」
「…………俺が経営してる、風俗店だよ」
「!」
頭が真っ白になった