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君の隣の相棒さん、

第4章 煙草が示す気持ち(伊)

「もういいのか…?」


『はい。すいません、お恥ずかしいところを‥』


「いや‥‥たまには誰かを頼るのも悪くなかっただろう?」


『はい‥たまには、ですね』


「悪いな、相手がおじさんで」


『いえ。っていうか先輩はおじさんじゃないです。それに‥‥相手が伊丹さんで良かったって思ってます』


渡したハンカチで涙を拭う彼奴はそう言ってまたあのときのように微笑んで見せる。


俺の心臓は、また煩く鳴り始めた。


「それは良かった、」


頭を掻きながら彼奴から目線を反らしてそういうと、彼奴は俺の紺色のハンカチを握り締めながら言った。

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