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君の隣の相棒さん、

第24章 左側から覗く瞳。右側の紅いピアス(大)

時に、彼女の表情が暗くなる。
普段から無口だが表情だけは豊かな彼女は、何故か今日は違った。
表情まで暗いのは珍しい…。


「どうした?君にしては珍しい顔をするな」


彼女は答えない。ただグラスに入ったワインを飲み干しただけ。
だがそれだけでも私は彼女の真意が掴めてしまう。

恐らく彼女は今、苛立っている。


「君らしくないな」


『大河‥内、さ…っ』


壁際に寄せた身体を隠すようにして彼女を引き込むとそっと口づける。
甘いだけではないワインの香りと彼女の不安気な表情に、私は何かを悟ってしまった。


「神戸に何を言われた‥?」


彼女は答えない。同期という唯一の頼れる安らぎの場所を壊したくないのだろう…。

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