君の隣の相棒さん、
第29章 眼鏡を外した貴公子は(大)
────それから二時間ほど経った頃。
幸い、誰も来ることがなく、その時間は何も予定がないまま通常業務のみだったのが救いでした…。
私が一通り資料へ目を通すのを終えて書類を大河内さんのディスクに置いたとき、ようやく大河内さんが目を覚ましました。
『‥主席?』
「ん‥‥‥俺は、眠ってしまっていたのか?」
『はい。それから、誠に勝手ながら鍵をかけさせて頂きました。ぐっすりと眠っていらした主席を起こすのは、少し抵抗が有りましたので‥‥』
「そうか。‥それはいいが、二人のときその呼び方は辞めなさい」
つい、いつもの癖で“主席”と呼んでしまう。
職業が定着している。と言った意味ではいいのだけれど、そのお陰で彼に毎回怒られてしまうのが痛いところなんですが‥‥。
私がいつものようにすいませんと謝ったあと、大河内さんが気付いた様に言いました。