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君の隣の相棒さん、

第38章 冷たい瞳(伊※)
















『もう、大切な人を失いたくないから』


いつも銃を構える彼奴の瞳は冷たいけれど、その時は違った。

熱く、真っ直ぐに俺を見詰めている。
少しだけ瞳が揺れ動いて見えたのは恐らく気のせいではない…隠しきれない恐怖から来るものだ。

少し間が空いたところで彼奴が言葉を付け足した。



『伊丹さんだって、私の…その‥‥大切な人ですから』



銃を下ろすと胸の前でぎゅっと握り締めている。
俺は少しだけ震えている彼奴の手をそっと握ってやった。



「サンキューな」



身体を震わせる彼奴の背中を優しく撫でてやると、その弾みかは分からないが彼奴が泣いてしまった。



「な、泣くなよ‥」


『だって…っ』


「ぁあ゛ーもう!わァーたから、何もいうな」



もうどうにでもなれ、というかの様に俺は彼奴を夢中で抱き締めていた。

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