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君の隣の相棒さん、

第38章 冷たい瞳(伊※)

「何でも一人で抱え込もうとするな。俺だって‥いるんだからよ」



柄にもなくそんなことを言って髪を撫でると、彼奴が背中に腕を回してくる。
突然のことに驚きながらも、俺はそっと抱き締めて彼奴を離さないでいた。



「なぁ‥‥家、来るか?」



何故そんなことを言ったのか‥
ただ、俺は珍しく見せた彼奴の弱さに魅せられていたのかもしれない…。

彼奴は俺の言葉にただ頷くだけだった。



「飲むか?」


『頂きます』



自宅についてまもなく、彼奴に缶ビールを渡すと開けて数分で一缶空けてしまった。



「おい、大丈夫か?」


『はい。問題なく…』



そう言って三十分の間に三本目を軽く越えている。
流石に早すぎるペースに彼奴の腕を掴んだ。



「お前やっぱり可笑しいぞ?…何考えてる」


『放っといて…ッ』



酔いも回るのが早い。
明らかにいつもの彼奴ではなくなっているのは見て分かる。

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