無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「ねぇ、本当に深い意味はないの？」


『ない』



即答だった。逆にそこが怪しいとも見えてくる。
俺の問いかけに突然お弁当に夢中になるところもまた…



「ねぇ」



優しく肩を持ってみると彼女はその行動に驚いたのかビクリと肩を跳ねさせていた。
それから、膝の上に乗せていたお弁当を包みごとそっとテーブルに置くと彼女が言った。



『逆に聞く。そんなに理由って大事？』



少し嫌そうな表情を浮かべながら俺にそう言った彼女。
そんな彼女に何だか胸にチクリと刺さるものを感じてならなかった。



「大事。特にお弁当っていうことに関してはね」



肩を持ったままそういうと彼女は目を見開く。
彼女にしては珍しく驚いている様子だった。

それから俺は、何故？と言いたそうな顔をした彼女に続けて言った。



「お弁当ってさ、普通は小さい時に親が子供にしていたことだろ？それを男女での場合、恋人だと見なされるんだよ。‥まぁ、君は鈍感だから分からないんだろうけどね」



彼女の動きが完全に停止する。
暫くしてゆっくりと下に目線を向けた彼女の顔は少し赤かった。