
君の隣の相棒さん、
第41章 覚めない夢、(大)
いつもこの現実が夢であればと思う。
目覚めた次の瞬間には夢であると分かり、そうしたらこんなにも苦しむ必要はなくなる。泣くこともない。
だけど、あの人にはその夢は覚めてほしくはないのだろう。
いつも、いつも呼んでいるのだからきっとそれはいい夢で…時々眉間に皺が寄って苦しそうにするものの、すぐに戻って‥‥
『誰か‥夢だと言って‥‥っ』
不意に漏れたその言葉は私の心の叫び。
無駄に辛くて、勝手に重たくなって。
一言ひとことが私を壊してゆく。
ボロボロになって、またゆっくりと修復されるはずだった。
なのに、今日は何故だか修復されない。それどころかどんどん壊れていくのを感じていた。
そしてそんなとき、私に声をかける人がいた。
「君は湊じゃない。君は君にしか成り得ない」
その言葉にはっ、として、気が付くと鏡の前に立つ私と背中に立って私の腕を掴むあの人。
いつの間にか私の手にはハサミが握られていて、長い髪を切る寸前だった。
─────私はいつしか、湊という人になろうとしていたんだ。
目覚めた次の瞬間には夢であると分かり、そうしたらこんなにも苦しむ必要はなくなる。泣くこともない。
だけど、あの人にはその夢は覚めてほしくはないのだろう。
いつも、いつも呼んでいるのだからきっとそれはいい夢で…時々眉間に皺が寄って苦しそうにするものの、すぐに戻って‥‥
『誰か‥夢だと言って‥‥っ』
不意に漏れたその言葉は私の心の叫び。
無駄に辛くて、勝手に重たくなって。
一言ひとことが私を壊してゆく。
ボロボロになって、またゆっくりと修復されるはずだった。
なのに、今日は何故だか修復されない。それどころかどんどん壊れていくのを感じていた。
そしてそんなとき、私に声をかける人がいた。
「君は湊じゃない。君は君にしか成り得ない」
その言葉にはっ、として、気が付くと鏡の前に立つ私と背中に立って私の腕を掴むあの人。
いつの間にか私の手にはハサミが握られていて、長い髪を切る寸前だった。
─────私はいつしか、湊という人になろうとしていたんだ。
