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「この話、まるで俺と尊みたいだ。…誰が書いたんだ？」


「ウチの西園寺咲音ですけど‥」



は？と驚いた様子で俺を下の名前で呼んでくれる恋人は次に頭を抱えていた。
無理もない。この小説の二人の主人公はあまりにも俺と伊丹さんに似すぎているのだから…。



「まさか‥いや、でもそんなことって…」


「実際のところは分からないですけど‥でも、もし知っているとしたら‥‥」



そういいかけた時、スーツの内ポケットで震えたスマホが彼女からの連絡を知らせた。メールだ。



From：西園寺咲音

小説読んで頂けましたか？

今頃、“恋人”と一緒に読んでるんでしょうね。



背筋が震えた。冷たい冷気が背中を通った様な寒気を感じてメールを伊丹さんに見せた。
案の定、伊丹さんもメールを読むと身体が跳ね上がってフロントガラスに伸ばしていた脚をぶつけるという始末。

どうやら彼女は俺と伊丹さんの関係を知っているらしい‥‥しかも、小説に書いてそれを知らせて来た。