君の隣の相棒さん、
第48章 カラフルドロップ(SS)
『神戸』
そう呼ぶのはあの人しかいないと思ったからいつもの調子で返そうとしたら、そこには俺の同期が立っていた。
良く見てみるとあの人そっくり。彼女の男装趣味のそれだということはすぐに分かった。
「驚いた。まさか大河内さんの男装するとはね‥」
『変‥か?』
「いや、凄くいい」
大河内さん風の男装はさておき、俺が注目したのは彼女の眼鏡姿。
眼鏡っていう言葉だけでも惹かれるけど、普段裸眼の人間が眼鏡というのはかなり萌える。
「俺が眼鏡フェチだって知っててやったの?」
『いや、別にそういう訳では…』
「ふぅーん?似合ってるよ」
お世辞なら結構だ、なんて照れ隠しをする姿も何処か大河内さんに似ていて、思わず笑ってしまう。
『何を笑っている?』
「いや、別に…っていうか、そろそろ疲れない?」
『ああ‥‥うん』
ウィッグを外すと現れる彼女の長い髪とスッと外された眼鏡。
その姿が綺麗で思わず見とれていると彼女がその眼鏡を渡してきた。
『尊の眼鏡姿、見たいな』
長い脚を組み、その膝に肘をつくと頬杖をついて上目遣いの彼女。
仕方ないな、と上目遣いにやられたからだというのは隠して、眼鏡をかけると彼女が小さく目を見開いて呟いた。
『‥‥‥格好いい』
その無意識な言葉に、俺は思わず彼女の唇を奪っていた。
(ネイビーブルーな葡萄味)
(大人の味。その姿、情熱的)