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君の隣の相棒さん、

第8章 雨、のちお前、(伊)

『気付いてくれたんですね、ありがとう御座います』


「そう思うなら手伝え」


『お礼の代わりに、そうさせて頂きます』


資料の束を見せると彼奴は俺の隣に座って見せると彼奴は鞄から眼鏡を取り出し、資料整理を始めた。


「お前、眼鏡なんかかけることあったんだな」


『え?ああ‥コンタクト忘れた時とか、小さい文字を見るのには眼鏡の方が都合がいいんで』


クイッ、と中指で下がった眼鏡を持ち直すその仕草が珍しくて、俺は数秒ほど見入っていた。


『先輩、手、止まってますよ?』


ビクッと震わせた肩にくすっと笑う彼奴。


俺は少し恥ずかしくなって、慌てて資料に視線を落とした。

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