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君の隣の相棒さん、

第8章 雨、のちお前、(伊)

『すいません先輩‥本当に雷だけは無理なんです』


「わァーたから!…まぁ、俺も得意ではねぇからよォ‥‥」


え?と聞き返しそうになった彼奴を慌てて強く抱き締めれば、彼奴は腕の中でむぐっと小さい声を出した。


「黙って抱かれてろ、」


『先輩言い方…っ』


「なんだァ?今変なこと考えたろ、」


『それは先輩がっ…!』


「俺が、なんだよ?」


瞬間的に彼奴から身体を離して見ると、彼奴の顔は夜の闇の中でも分かるくらい紅くなっていた。


『な、何でもないです‥』


「嘘つけ、何か考えてただろーが」


明らかに動揺して否定する彼奴に、俺は距離を縮めて顔を除き込む。


彼奴の驚いている顔が面白くて、思わず笑った。

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