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恋してキスして抱きしめて

第9章 あの、立場逆転してませんか?

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高校から1番近かったのが俺の実家だったから、当然のように仲間内の溜まり場になっていて


今更ながら、夏輝の家に行ったことは一度も無かったことに気付く。


会社から電車で20分、都内屈指の高級エリア。


閑静な住宅街の一角に、レンガ壁の煙突屋根が見えてきた。



「……絵に描いたような金持ち……」



住所を打ち込んだ携帯のマップアプリを閉じて、坂道を進みながら呟く。


そりゃあ、大企業の常務なんだから当然なんだろうけど。


この辺に一軒家を構えるってことは、爺さんの代から続く資産家なんだろうな。


金持ち・大企業・統括役員・有名大学・美女・・・


でも長男は旅人(=無職)


憐れ~~

そんでもって迷惑~~


夏輝くん、はたから見たら君はこの家の汚点だな。



なんて勝手に他人の家の分析をしていると



「ユーリさん……!」

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