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恋してキスして抱きしめて

第16章 俺は、ここにいる

次の瞬間



「………!!」



あたしの体は、ぐいっと後ろに押し戻されて


ユーリさんの手が、あたしの手を掴んで止めた。




「……焦るなよ、千夏」


「………っ」


「急かしてヤるもんじゃねーぞ」




背筋がゾクッとするような、低い声。


あたしの背中に手を回して、少し距離を空けて


ユーリさんの深い瞳が、真っ直ぐあたしを見つめる。



「………っ ごめんなさ……」



心臓が潰れてしまうほど、全身がドクドク波打って


あたしの口からは、自然とその言葉が出てきた。


怖くはないけど、痺れて動けなくなってしまうほどのユーリさんの視線。


目を離せなくて、どうしていいか分からない……



すると



「………!」



ユーリさんはふっと笑って、いつもの表情に戻すと


あたしの手を、自分の左胸に近付けて触らせた。

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