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恋してキスして抱きしめて

第16章 俺は、ここにいる

「分かる?俺の心臓の音」

「………!」




……さっきよりも、もっと早い鼓動。


右手から、あたしの体へと響いてくる。




「すげー緊張してるんだ。

どんなに経験を積んできた男でも

好きな女を抱くのは、震えるんだよ」




優しくて、切ないユーリさんの声。


あたしはもう、言葉が出てこない。


その鼓動を聞いただけで


愛しい彼の微笑みを見つめるだけで


さっきまでの怖かった気持ちが、深い霧が晴れるように消えていく。




「俺は、ここにいる」




あたしの目から、いつの間にか流れていた涙を


ユーリさんは指で拭うと、そのままあたしを抱きしめてくれた。




「ちゃんと千夏を見て

千夏だけを感じてるから」


「………っ」


「お前だけを、見てるよ。

これからも、ずっと。

……俺は、心から千夏が好きなんだ」

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