恋してキスして抱きしめて
第19章 本当の、サヨナラ
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………変わったのは
肩の下まであったロングヘアが、すっきりと短くなったってだけだ。
あの頃、何度も自分の瞳に焼き付けた、愛しい笑顔
目の前で眠っている、27歳の彼女の顔にも
その優しい微笑みが浮かんでいる。
「○○さん、一度ベッドから起き上がれますか」
「あ~~はい、イテテ……」
隣りのベッドの患者が、看護師と会話を始めたので
その声に気付いて
朱莉はゆっくりと瞼をあけた。
「……………」
「……朱莉、こっち」
天井を見上げたその瞳が、ベッドの横の椅子に座る、俺の姿を捉えると
さらに大きく見開いて、パチパチと瞬きをさせた。
「……ユーリ……?」