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恋してキスして抱きしめて

第19章 本当の、サヨナラ

「はは、そんなに見惚れんなよ」

「…………!」

「イケメンすぎて、目が離せない?」



俺がそう言って笑うと、朱莉はますます困惑した表情になる。


まぁ、無理もねーか。


さっきまで冷たく接していた男が、こうして近くにいるんだからな。



「……あの……」

「旦那なら、今外で電話してるよ」



携帯の番号を押して、会話を始めた途端に看護婦に怒られて


巨体を揺らし、ものすごいスピードで病院の外へ走り去っていった。


ハンカチやら財布やら、色んなものを廊下に落としながら。



「マジ、コントを観賞してるみたいなんだけど。
あんな天然で面白い奴が家にいたら、毎日退屈しねぇな」

「…………!!」

「とても薬剤師には見えねぇわ」

「…………っ」



笑い続ける俺をじっと見つめて


朱莉は沈黙した後に、少しだけ口角を上げた。

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