恋してキスして抱きしめて
第19章 本当の、サヨナラ
「……連絡してなくて、本当にごめんな」
「…………」
視線を伏せたまま、千夏がふるふると首を振る。
俺は千夏の両手を取って、目の前にしゃがんだ。
「この病院だって、どうして分かったの?」
「……ユーリさんの……」
「ん?」
「ユーリさんのマンションから、1番近い総合病院を調べたので……」
「……そっか」
俺の名を出して、声が聞けたことで、少しだけホッとする。
だけど
顔を覗き込もうとすると、千夏は目をぎゅっと瞑ってしまった。
「……ちーちゃん」
「…………」
「………これ
朱莉の為に、買ってきてくれたの?」
紙袋を持ち上げて、静かにそう聞くと
千夏はゆっくりと目を開いて、やっと俺を見てくれた。