恋してキスして抱きしめて
第19章 本当の、サヨナラ
「………可愛いな。
あいつ、絶対喜ぶよ」
紙袋の真ん中に入っていたのは
簡単な包装紙に包まれた、ビジューの付いたフラットサンダルだった。
千夏が今履いているのと同じ形で、夏らしい鮮やかな水色。
クッション性のある、柔らかい素材で、見るからに履き心地が良さそうだ。
「包帯を薄く巻けば、今すぐ履けるよ。
……少し大きめのサイズを、選んでくれたんだ?」
「…………っ」
「そうなんでしょ? ちーちゃん」
心の奥からこみ上げる想いを抑えて、微笑んでそう聞くと
千夏は唇をきゅっと結んだまま、コクリと頷いた。
その表情を見るだけで、胸が締めつけられる。
「……あとは?
他にもいっぱい入ってるね」
………紙袋の中には
違う店で買ったと思われる、別の商品も詰め込まれていた。