恋してキスして抱きしめて
第19章 本当の、サヨナラ
「キャンディーと、クッキー……すげー美味そう」
「…………」
「これは、髪を結ぶやつ?
あ、ブレスレットか」
紙袋からひとつひとつを取り出して、丁度隣りにあった花壇の上に並べてみる。
甘い香りまで漂ってきそうな、色んな洋菓子の詰め合わせと
女が好みそうな、ビーズやストーンが散りばめたアクセサリーの数々。
暗い空の下で、この場所だけ太陽に照らされたように明るくなる。
「ちーちゃん、これも全部朱莉に?」
最後のひとつを取り出してから、もう一度千夏の手を握ると
千夏は大きく深呼吸をしてから、口を開いた。
「……く、薬や、包帯は……」
「……ん?」
「治すのは、病院がしてくれるから……」