恋してキスして抱きしめて
第19章 本当の、サヨナラ
「………ごめん、千夏」
「…………っ」
止めたはずの涙が、再び千夏の瞳に溢れるのを見て
俺はハッと我に返った。
(……そうじゃねぇだろ……!)
いつもなら、どんな状況でも言葉を生みだすことは得意なはずなのに
ありきたりな愛を囁いても、薄っぺらくなるし
謝罪を口にすれば、別の意味として捉えられてしまう。
………俺が今、千夏に伝えられる唯一の方法は………
「……ユーリさん……」
その小さな体を抱き寄せようとした時
千夏は、精一杯の笑顔を俺に見せた。
「……花火、マジックでした」
「………!」
「き、気持ちが盛り上がって……
雰囲気に流されてしまいました……っ」