恋してキスして抱きしめて
第19章 本当の、サヨナラ
笑顔の千夏の頬に、いくつもの涙の筋ができる。
「……勢い任せで……」
「……違うだろ」
「しょ、衝動的で……」
「……違うよ、千夏」
「………っ あたしの初恋は
錯覚だったんです……!」
「…………っ」
俺の手をすり抜けて、千夏はくるっと体を後ろに向けた。
「……パパとお兄ちゃんには
ちゃんと教育してもらいましたって、言います」
「…………!」
「……ユーリさんと、朱莉さんが
笑ってくれることが、あたしの1番の願いです」
千夏は
雨の中
傘もささずに、駆けだしていく
俺から離れる時の
千夏の言葉が
俺の全身を、一瞬で凍らせた
「………さようなら、ユーリさん」