恋してキスして抱きしめて
第20章 ただ、想うだけで
「………千夏」
お兄ちゃんが、体をこちらに向けて真っ直ぐあたしを見る。
「なぁに?」
「…………」
「……お兄ちゃん?」
「抱かせて」
…………!
あたしが答える前に
お兄ちゃんは、座ったままのあたしの体を引き寄せた。
逞しい腕に、すっぽりと包まれる。
「……お兄ちゃん……?」
さっき、手を握られた時とは違って
少し震えているような、触れるか触れないかくらいの優しい力。
トクントクンと、心臓の音がダイレクトに耳に伝わってくる。
「……どうしたの……?」
「パワー注入」
「……えっ?」
「お前の気持ちがユーリに届くように
俺の願いを、注いでるだけ」