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恋してキスして抱きしめて

第21章 全力で、取り戻せ

「これから後夜祭だろうし
……行ってる可能性は高いな」



時計の針は、5時にさしかかろうとしている。


この時間は夏の日差しが強く照りつけているけど、あと2時間もすれば辺りは暗くなって


学生達の盛り上がりが最高潮に達する、夜のイベントが始まる。



「ヒメ、なんか服貸して」



俺が携帯を手に取ると、ユーリが立ち上がった。



「俺、一度会社に行かなきゃならないけど、休日にスーツ着る必要ねぇから」

「………!」

「……カン、だけど。
折り返しの電話を待ったり、自宅に行くよりかは……早く逢える気がする」



………その瞳に、もう迷いは無い。


キザなことを言うなら、お姫様を迎えにいくナイトの顔だ。


久しぶりに、ユーリが誰かを追い求める表情を見て


俺の心にも、普段は秘めている何かに、火が灯った気がした。

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