恋してキスして抱きしめて
第21章 全力で、取り戻せ
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慌ただしくシャワーを浴びて、俺の私服を着たユーリ。
系統から体格までほぼ同じだけど、靴のサイズまでぴったりだとはさすがに知らなかった。
「お前、その残った仕事。
どのくらいの時間で終わる?」
玄関で、スニーカーの靴ひもを結ぶユーリの背中に声をかける。
「あ? 時間?
上司の機嫌にもよるけど、まぁ1時間ってとこじゃねぇの」
「1時間、な」
「速攻終わらせてやる。
1秒でも早く逢いたいから」
その言葉通り、ちょっとの時間も惜しいのか、ユーリは振り返らない。
……ったく、どこまでも真っ直ぐな奴。
「じゃあな、ヒメ。
色々サンキュ」
「…………」
「また報告するから……」
「ユーリ」
ドアに手をかけたユーリの後ろ姿に向けて
俺は心からの願いを込めて、息を吸った。