恋してキスして抱きしめて
第22章 青春フルスロットル
………?
今…… “ 蓮 ” って……
「わわわ、びっくりした!
すっごくお久しぶりです!!」
携帯電話で話しているのに、陽菜ちゃんはガバッと頭を下げる。
そして、再び起こした顔は茹でタコさんのように真っ赤だ。
………こんなに興奮してる陽菜ちゃん、初めて見る。
「は、はい、今日学祭で……
え? 今ですか?」
電話の相手の人は、陽菜ちゃんがどこにいるのか聞いたみたい。
陽菜ちゃんの口が、学食です……と動くと同時に
あたしは
周りの空気が
なぜか変わったことに気付いた。
「…………」
なぜ、気付いたかというと
こんなに広くて、賑やかで、大勢の人がいる学食なのに
陽菜ちゃんの後ろに座る人達が、みんな同じ方向を見ていて
その人がこちらに近付いてくる動きに合わせて、その視線が集まっていくからだ。
「蓮先生~?聞こえてます?」
「聞こえてるよ」
陽菜ちゃんの後ろで
凄まじく煌びやかなオーラを背負って
携帯を片手に、黒髪の男の人が微笑んだ。
「久しぶり、陽菜」