恋してキスして抱きしめて
第22章 青春フルスロットル
「「~~~~~!!」」
……何度も読み返している、恋愛小説。
小説の中の架空の彼は、とっても素敵な男性だけど
今、あたしの目の前で、携帯を切った同じ名前の男の人は
比べるまでもなく、数億倍はカッコイイということ
この数秒だけで、分かってしまった。
「良かった、すぐ見つけられて。
途中で偶然後輩達に会って、陽菜が学食にいるって教えてくれたんだ」
低くて色気のある声。
横に立ったその人を見て、陽菜ちゃんはあんぐりと口を開けてフリーズしてる。
………それは、あたしも同じだ。
「はは、イイ反応。
28歳になったおじさんでも、イケて見える?」
そう言ってふわっと微笑んだだけで、大砲で撃たれたような衝撃波が押し寄せる。
……おじさんだなんて、とんでもない。
背がとっても高くて、モデル体型
艶のある黒髪は、短くツンツンに尖っていて
小さくて、精悍な顔立ち
深くて鋭い瞳
………この人は………