恋してキスして抱きしめて
第22章 青春フルスロットル
“ ヒメと同じく、その圧倒的な雰囲気で
息を呑んで見惚れられるのが蓮 ”
「…………」
お兄ちゃんがそう言っていたのを、今になって思い出した。
大抵、他人の見方は当てにならないって言うけど
実物を見て、こんなにもその説明がぴったりだったということに、ただただ驚いてしまう………
「ところで蓮せんせい。
ほんとに急に、どうしたんですか?」
陽菜ちゃんが目をクリクリと動かして、立ったままの彼に聞く。
「後輩達が伝統の学祭委員をしっかり務めてるか、見にきたんだよ」
彼はそう言って笑いながら、首元のネクタイを緩めた。
「と言いたいところだけど、それは冗談。
急遽、呼び出しがかかった」
「呼び出し?」
「あぁ、緊急出動命令が発せられてね」