恋してキスして抱きしめて
第22章 青春フルスロットル
その時
「やべー、超気持ちいい」
「…………!!」
ステージ横の小階段を、軽快な足取りで降りてくる男。
“ 熱血 ” なんて類とは無縁のそいつの額から、大量の汗が光っていた。
「最高にノリがいいな。さすが学生」
「…………っ」
「でも、最後の1曲は渾身のバラードでシメておいたから。
しっとりとムーディーな感じに仕上がってるぜ」
……ムーディーな感じって何……?
普段絶対言わねぇようなセリフを連発するから、こいつが本当にヒメなのかさえ疑問に思えてくる。
「お、来たな主役」
暑そうに前髪をかき分けたヒメが俺を見た。
「……ヒメ……」
「いいね、 その顔期待以上」
クククッと楽しそうに笑いながら、ヒメが蓮の横に並ぶ。
同じ名前の、最強男が2人。
………卒業してから6年経った今
この場所に再び集結するなんて、誰が想像できただろう。