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恋してキスして抱きしめて

第22章 青春フルスロットル

「ユーリが行く前に。
蓮、まずはお前が先に行ってMCやれよ」

「あぁ、分かってる。
“ 恒例の告白タイムです ” とでも言っておくか」

「恒例でもねぇし、やるのはたった1人だけど」

「豪華なリサイタルだな。
ヒメ、マイクそのまま?」

「あ、持ってきちまった」



………目の前で会話をする2人を交互に見つめる。


蓮にマイクを渡すと、ヒメは俺の方に振り返った。




「ユーリ。 人生、一度きりだ」


「…………!」


「不器用で、臆病で

恋愛に至っては、なかなか本音を出せない俺達だけど

誰か1人くらい、愛を叫んでもいいんじゃねーか?」


「…………っ」


「……彼女の心に、真っ直ぐ届くように」




………ヒメの言葉で、ザワついていた舞台裏の空気が変わる。


ハッピを羽織り直した蓮も、俺を見て無言で頷いた。


……こいつら……



「……ヒメ……蓮……

そこまでして、俺の為に……」



俺がそう呟くと


2人はお互いにチラッと顔を見合わせた後


真剣な表情で、同時に言い放った。






「「 だって、面白いから 」」

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