恋してキスして抱きしめて
第23章 もう一度、あの場所から
「……はぁ……っはぁ……っ」
やっと観客の最後尾まできた時には、もう苦しいくらいに息があがってしまって
それでも
あたしは止まらずに、さっき通ってきた坂道を駆け出した。
「…………っ」
………数々の場面で、ユーリさんがあたしに伝えてくれた言葉が
彼の笑顔と共に、あとからあとから溢れだしてくる。
“ 勢い任せとか衝動的ってだけで終わらないように
ちゃんとお互いを知って、ゆっくり進んでいこうね ”
“ 焦るなよ、千夏。
急かしてヤるもんじゃねーぞ ”
………独り占めしたくて暴走したあたしを、ちゃんと諭してくれて
朱莉さんのことで不安になったあたしと、真っ直ぐ向き合ってくれた。
“ 俺は既に、お前に恋しちゃってんの! ”
“ こんなに俺を夢中にさせたんだから、ちゃんと責任取れよな ”
………ちょっと拗ねたように、赤い顔をして叫んだ後
あたしを引き寄せて、ギュッて抱きしめてくれた。