恋してキスして抱きしめて
第24章 ずっと、好きだった
「…………!!」
ドクッと、大きく心臓が跳ねる。
………夏輝の姿を見るのは、約2ヶ月ぶりだ。
7月の半ば、いきなり妹の恋愛教育係を任命してきた、あの日以来。
「……お兄ちゃん……?」
「…………」
「ねぇ、痛いよ……!」
夏輝の腕から逃れようと、体を捩らす千夏。
音信不通だった男と、久しぶりの再会を果たして
この状況下、お互いに言う事は山ほどあるはずだけど
「……夏輝……」
千夏をがっちりと抱え込んで
挑発するような鋭い視線で、夏輝は俺を真っ直ぐ睨んでいる。
目の前で威嚇する、その姿を見て
さっきまでの甘い空気は、一瞬で凍ったように思えた。
“ 俺にとって大事なもん ”
………ヒメと飲んだ夜
俺の頭の中を掠めた予想は、事実だったってことか。
……やっぱり、こいつ
千夏のことを………