恋してキスして抱きしめて
第24章 ずっと、好きだった
「………っ ユーリさん……」
再び目に涙を溜めて、俺を見た後
千夏は、両手で夏輝の手を握る。
「お兄ちゃん、あたしからもお願い」
「…………」
「……この前伝えたように
あたし、ユーリさんのことが大好きなの……」
………無言のまま、俺と千夏を交互に見た夏輝は
小さく息を吐いて、目を伏せた。
「………諦めようと、したんだよ」
「…………!!」
「どんなに好きでも、俺のものにはなってはくれないから
長年の恋心に蓋をするつもりだった」
夏輝が切なそうに微笑んだから、益々胸が締め付けられる。
……長年、か……
母親がいねぇのもあるし、小さい頃からずっと傍にいたんだもんな。
高校の時から、女の気配がまるで無かったのは
誰にも言えねぇ恋をしていたからだったんだ。