恋してキスして抱きしめて
第26章 恋してキスして抱きしめて
………は?
カバンから書類を取り出す手が止まる。
な、なんつった今?
え?本気?
じゃねぇよな?
「今のは、冗談?」
「冗談じゃありません」
「……舞ちゃん、彼氏いるよね?」
「いませんよ」
「え?いねぇの!?」
「いるフリをしてたんです」
え~~!?
なんで!?
そんなの初めて聞いたんだけど!!
朝っぱらから衝撃的な会話に、続々と出勤してくる周りの同僚達が耳を傾けている。
「だって、ユーリさん熟女が好きなんでしょ?」
「いや、好きっつーか……どちらかといえば逆……」
「舞、若いから恋愛対象じゃないんだって諦めていたんです」
「…………」
「悔しいから、彼氏持ち気取ってたけど。
でも、最近のユーリさん、ますます素敵になっていくから……」
………いつも、淡々と仕事をしている舞ちゃんが
最後は消えそうな声になって、顔を真っ赤にして俯いたから
ドクッと心臓が鳴って、俺は舞ちゃんの方へイスを回した。
「……舞ちゃん、俺……」
と、その時
「ユーリ」