テキストサイズ

恋してキスして抱きしめて

第2章 待て、なぜ俺に頼む?

「ユーリさん、携帯鳴ってますよ」



鬼のような早さでブラインドタッチをする舞ちゃんは、そう言いながらもパソコンに目を向けたままだ。



「え?俺?」

「会社携帯じゃないです。スマホの方」

「あぁ、こっちか」



本人が気付かない振動音だけで、よく分かったな。


デスクに置いてあった方から目線を外し、鳴り続けている個人携帯をカバンから取り出した。


090・・・?


知らねぇ番号。



「ユーリさん、私用の電話なら外出てください」

「へいへい」



舞ちゃんに叱られて、携帯を持ってフロアの外に出る。


自販機の置いてある休憩スペースへ来ると、俺は画面にタッチした。



「もしもし?」

『……あ、出た。ユーリか?』



電話の向こうから聞こえてきたのは男の声。


俺の名を呼んだ時点で知り合いだろうけど、誰だー?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ