仮彼氏。
第1章 疲れた。
「…いつどこで」
「今ここで」
「…は!!?」
今!?ここで!!?
「ちょっと待って!?」
「待たない」
「きゃっ…!」
向島に押し倒された
「こ、心の準備が…んっ!!」
目の前に、向島の無駄に綺麗な顔
唇に、柔らかい感触
キス、されてる…!!?
「ちょっ、んんっ…!」
胸を押し返そうとしても、びくともしない
それどころか、舌まで入れられた
「くっ、るし…」
息が苦しくて向島の胸を叩く
「っはぁ、はぁ…」
「…お前息しろよ」
向島が私の滲んだ涙を親指で拭いながら呆れ顔をした
「だ、だって…」
「だって、何?」
「っ…」
こいつ…!
「…初めてだったんだもんっ!//」
「…え」
私が開き直ると、向島が目を見開いた
「…ごめん」
「っ…!!」
向島が謝った!!?
「…さすがにキスはしたことあると思ってた、ごめん」
「……」
なんか遠回しに貶されてる気が…
「じゃ、続き」
「え、ちょ…!!」
膝の裏に手を差し込み、向島が私を抱き上げた
「お、おろして…!」
「はぁ?なにお前床でヤりたいの?」
「ちがっ…!」
「じゃあ大人しくする」
「っ…」
向島の有無を言わせない口調に、それ以上喋ることをやめた