仮彼氏。
第9章 ピンチ。
「…そっか。」
「なんでいきなりそんなこと…?」
俺が控えめにそう訊くと、黒田が少し俯いて言った
「千晴の代わりに抱かれるのは嫌だから」
…え?
「代わり…?」
「……」
黒田が小さな手でシーツを掴む
代わりの意味は分からないけど、黒田が何かに苦しんでいるのは分かった
「…私、一年のとき先輩と付き合って処女捨てたって言ったでしょ」
「あぁ…」
「そのときね、泣いたの」
それは……
「痛くて…?」
「うん
もうね、わんわん泣いた
そしたらね、その先輩がオロオロしながら私のこと抱き締めたんだ…
『さくら』って何度も名前呼びながら」
さくら…!!?