仮彼氏。
第12章 センセイ。
「…この頃はな、まだセンセイハウスって会社は無かったんだよ」
「…え?」
親父の言葉に首をかしげる千晴
センセイハウスは無かった…?
「神谷不動産。千晴ちゃんは覚えてないと思うけど、センセイハウスは昔そんな名前だったんだ」
「神谷、不動産…」
千晴が確かめるように呟く
それを見て、父さんはさらに言葉を続けた
「この写真が撮られてから、二年後くらいかな…
景気の悪化でまだ小さかった神谷不動産は倒産しかけたんだよ
そのとき、俺が春樹に会社の合併を提案したのさ」
倒産…合併……
普段あまり聞かない会社の話に、思わず息を飲んだ